株式会社The Lodgesは、このたび『共創観測論 II No Observation, No Universe』を公開いたしました。本書は、『共創観測論 I』で展開した理論を、複数の観測主体が関わる場へと拡張したものです。『共創観測論 I』では、観測を「すでに存在する世界から情報を取り出す行為」としてではなく、複数の可能性から特定の意味や構造を捉える作用として扱いました。その基本構造は、
Ψ → P → Φ
として表されます。
Ψは複数の意味可能性を含む「意味分布」、Pは主体による「観測写像」、Φは観測によって捉えられた「意味構造」を表します。しかし、一人の主体によって意味が形成されたとしても、その意味がなぜ他者と共有できるのかという問題は残ります。同じ出来事を観測しても、人によって解釈は異なります。それにもかかわらず、人間は一定の意味を共有し、他者との関係を形成し、さらに社会や制度を成立させています。
『共創観測論 II』では、この問題を出発点として、観測を一人の主体による作用から、複数主体の観測が相互に影響し合う動的な関係構造へと拡張します。
意味は「観測と観測のあいだ」で形成される
本書では、異なる主体はそれぞれ異なる観測写像「P(i)」を持つと考えます。同じ意味分布Ψを観測しても、
Ψ → P(i) → m(i)
となり、主体ごとに異なる意味が形成される可能性があります。これは単なる認識上の誤差ではありません。観測は、その主体が持つ経験、記憶、言語、価値体系、過去の観測履歴などに依存するためです。では、異なる観測構造を持つ主体同士が、どのように共有可能な意味を形成するのでしょうか。
本書では、複数主体の観測が相互作用する関係空間を「観測場」として捉えます。ある主体が観測した結果を語り、それを別の主体が観測する。その応答を最初の主体が再び観測する。この相互作用が繰り返されることで、それぞれの観測構造自体が更新されていきます。
その結果として形成される共有可能な意味構造を、本書では、
Φco(共創意味)
として表します。
つまり、意味を個人の内部だけに存在するものとしてではなく、異なる観測が相互作用する「あいだ」で形成される関係的な構造として捉えることが、本書の中心的な視点です。
「共創」を共同作業ではなく「観測の相互更新」として捉える
一般に「共創」は、複数の人や組織が協力して新しい価値を生み出すこととして理解されています。本書では、その前段階にある認識構造へ焦点を当てます。主体Aの観測が主体Bへ影響し、変化したBの観測が再びAへ影響する。その相互作用によって、どちらにも当初存在していなかった意味が形成される。本書では、この過程を、
「複数主体が相互に観測構造を更新しながら、共有可能な意味を形成する過程」
として「共創観測」と捉えます。また、共創を理想的な合意形成としては扱いません。異なる主体の観測には「ずれ」が存在し、すべての主体が同じ影響力を持つわけでもありません。そのため本書では、意味の共有だけでなく、誰の観測が強く作用するのかという非対称性や、そこから生じる支配、排除、制度化についても考察します。
意味から関係、制度へ
本書ではさらに、共創観測を『共創資本論』で提示してきたTROモデルへ接続します。
T(語り):観測された意味の外部化
R(関係):語りと再観測によって形成される主体間の整合
O(制度):安定した意味や関係を固定する構造
観測によって形成された意味が「語り」として外部化され、それを他者が再観測することで「関係」が形成されます。さらに、その関係が反復・安定化することで「制度」へとつながります。そして、形成された制度は再び次の観測条件として作用します。
すなわち、
観測 → 語り → 関係 → 制度 → 新たな観測
という循環によって、個別の意味が社会的な構造へ発展していく過程を記述します。
「No Observation, No Universe」が意味するもの
本書の副題である「No Observation, No Universe」は、「人間が観測しなければ物理的宇宙そのものが存在しない」と断定するものではありません。本書が中心的に扱うのは、異なる主体によって観測された世界から、いかに共有可能な意味や現実が形成されるのかという問題です。
『共創観測論 I』が、「観測によって世界はいかに捉えられるのか」
を扱ったのに対し、『共創観測論 II』では、「異なる観測から、共有された世界はいかに形成されるのか」へと問いを進めます。
単独観測から複数主体へ。個別意味から共創意味へ。そして、意味から関係、制度へ。
本書は、これらを「共創観測」という一つの枠組みから記述するための理論的・数理的基盤の構築を試みるものです。
理論研究と社会実装の接続
株式会社The Lodgesでは、『共創観測論』を含む理論研究と、プレスリリース、クチコミ、共創提案、AI生成、意味解析などの情報領域における事業との接続を進めています。
企業による情報発信と市民による評価、人間による判断とAIによる情報生成など、異なる主体による観測がどこで一致し、どこでずれ、どのような意味や関係を形成するのか。こうした構造を可視化することで、企業・行政・市民・AIが関わる共創プロセスの理解と、新たな情報基盤への応用可能性を検討してまいります。
販売情報
会社情報
株式会社The Lodges
所在地:兵庫県神戸市中央区浪花町56 KiP内
代表者:長澤 奏喜
事業内容:サステナビリティ広報プラットフォーム「SDGs PR Lodge」および「SDGs クチコミ Lodge 」、「SDGs 共創 Lodge」の企画・運営
URL:https://the-lodges.jp
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